有無 本件処理後物が有償譲渡された実績は確認されておらず,野積み 状態で保管されているものがほとんどであって,当該物に経済的合 理性がある取引を生じさせる価値はないと判断される。
(e) 占有者の意思 上記(a)〜(d)からすれば,占有者である原告において適切に利 用し又は他人に有償譲渡できる物との認識があるものとは認められ ない。
b 以上のことから,本件保管物は仮に原告がコンポスト等の有用物を 製造することを目的として製造したものであったとしても、結果的に処 理された後の物は,占有者が自ら利用し,又は他人に有償で譲渡する ことができないために不要となったものであるため,廃棄物に該当す る。
(キ) 平成16年1月26日,下水道公社から原告に対して,第1改善命 令の対象となった産業廃棄物には,汚泥処理委託契約で処理された発酵 処理後物を含んでいることから,汚泥処理委託契約3条2項の「法令に 基づき適正に処理する責任」を果たしていないとして,本件コンポスト について,発酵堆肥化処分,もしくは廃掃法に基づく適正な処分を するよう求め,平成16年3月1日までに履行がない場合は,契約を解 除する旨通知された。
また,平成16年2月5日,しさ処理委託契約に ついても,同様の通知がなされた。
(ク) 平成16年3月5日,下水道公社から原告に対して,汚泥処理委託 契約及びしさ処理委託契約を解除する旨,汚泥処理委託契約について同 契約15条3項に基づいて1658万2312円を請求する旨,しさ処 理委託契約について同契約15条3項に基づいて46万6013円を請 求する旨通知された。
そして,原告は下水道公社に対して,上記各金額 を支払った。
(ケ) 平成18年2月13日,宮城県仙南保健所長から原告に対して,廃 掃法19条の3の規定により,第1改善命令の対象区域を除く原告の製 品ストックヤードに野積みしている本件コンポスト(産業廃棄物とされ ている)について,周囲に囲いを設ける,産業廃棄物の保管場所で ある旨の掲示板を設ける,飛散,流出,地下へ浸透しないよう必要な 措置を講じる等の改善命令(以下「第2改善命令」という。
)がなされた。
(コ) 焼却灰の使用量を減らし,重金属が含まれている量が少ないバー ク・もみ殻を代わりに水分調整材として使用することによって,生成さ れるコンポストの重金属含有量を減らすことが可能であり,多くの堆肥 化処理場ではこの方法を採っている。
(サ) 本件コンポストには平成14年4月ころから,亜鉛,カドミウム, 鉛等の含有量が増加している傾向が見られるが,これは,同月以降の本 件焼却灰のプラA ントへの投入割合の増加によるものである。
イ上記認定事実によれば,宮城県仙南保健所長が第1改善命令を出した理由 は,本件コンポストからは総理府令基準及び肥料取締法の基準を超える重金 属が検出されており,実際に搬出された形跡もなくこれから搬出される見込 みもないこと等から,本件コンポストを不要物(産業廃棄物)と捉えた上で, 原告が本件コンポスト(産業廃棄物)を,囲いなどの施設を設けずに大量に 野積み状態で長期間保管していたことが廃掃法12条2項に違反すると判断 した点にある。
そうであれば,被告の引取義務違反によって原告の敷地から 本件コンポストが搬出されていなかったことが,本件コンポストが不要物と 認定されたことに影響を与えたというべきであるし,原告が本件コンポスト を大量に野積み状態で長期間保管していたのは,被告が引取義務を履行しな いことに原因があるのであるから,被告の引取義務違反と,原告の本件コン ポスト保管行為が廃掃法12条2項に違反するとされ,第1改善命令が出さ れたこととの間には密接な関係があるというべきである。
また,上記認定事 実によれば,下水道公社が下水道公社契約を解除するに至った理由は,原告 が第1改善命令を受けたことから,下水道公社契約上の産業廃棄物について 「法令に基づき適正に処理する責任」を果たしていないと認められたこと, その後の下水道公社の要求にもかかわらず,原告が上記処理後物について発 酵堆肥化処分ないし廃掃法に基づく処分をしなかったことにある。
そして, 上記のとおり第1改善命令を受けたことは被告の引取義務違反と密接な関係 があるし,被告が引取義務を履行すれば,原告が廃掃法等に基づく処分をし なかったものとはされなかったのであるから,被告の引取義務違反と下水道 公社による下水道公社契約解除との間には密接な関係が認められる。
以上の ことからすれば,被告の引取義務違反と下水道公社による上記契約の解除と の間には相当因果関係が認められるというべきである。
そこで下水道公社契約の解除によって原告に生じた損害を検討するに,平 成15年3月31日に原告と下水道公社との間で締結された下水道公社契約 は,履行期間が平成15年4月1日から平成16年3月31日までとされて おり,原告と下水道公社との間の契約は1年を期間として締結されているも のと認められる。
特別掛金
@本件届出行為により原告事業所の44名中39名という約9割に相当する加入員が減少していること,
A上記39名の従業員全員は,資格喪失当日に六大に転籍しているが,六大は,代表者を始めとする役員構成,本店及び事業所の所在地,事業目的等を原告とほぼ同じくし,従前の原告の業務と六大設立後の両事業所の業務の実態には相違がなく,実質的な転籍の事実が認められないこと,
B原告は,本件転籍行為は経営の合理化又は再構築を達成するための分社化に伴うものである旨主張するが,原告の挙げる労務費の削減等の分社化の目的はいずれも企業の経営努力によって確保できるものであり,また確保されているものであって,そのための分社化の必要性は認められないこと,
C本件届出行為は,掛金の支払に当てるべき資金に余裕がある状態で任意的に加入員を減少させるものであること,
D原告は,本件転籍行為の直前に脱退に係る特別掛金の額を照会していたこと,以上の特殊事情が存在するのであって,これらの特殊事情にかんがみれば,本件転籍行為は,原告の経営上の実質的な必要に基づくものではなく,専ら特別掛金の負担を免れることを目的としたものであり,これに伴う本件届出行為は,法138条5項及び規約附則21条の適用を潜脱するためのものというべきである。
また,本件届出行為の結果,原告が納付する事務費を除く掛金は,約75万7000円から約12万5000円に減少し,被告は,原告からの毎年の掛金収入を約758万4000円ずつ失うことになったが,他方,被告は,本件届出行為後においても,原告事業所の加入員及び元加入員に対して毎年約1550万円ないし約1750万円の年金等(国の代行部分を含む。)を支給している。
本件届出行為を原因とする原告事業所の加入員又は元加入員に対する将来の年金等の給付に必要な被告の積立金等の不足額を規約の規定により算定すると合計9431万1431円となり,その額は,原告事業所の脱退に係る不足額の合計1億1347万0720円の約83パーセントに相当するのであって,本件届出行為が被告と他の事業所に及ぼす影響は当該事業所の脱退に匹敵するものであるといえる。
以上によれば,本件届出行為は設立事業所の脱退の申出に準ずるものといえ,法138条5項及び規約附則21条の適用又は準用により,本件処分は適法である。
もっとも,原告と下水道公社は平成3年4月10日から汚 泥処理委託契約を,平成7年4月1日からしさ処理委託契約を締結しており, それぞれ平成15年に至るまで継続して更新されてきているのであるから, 本件の解除がなければ,原告と下水道公社との契約は,少なくとも平成16 年4月1日から5年間は継続したものと見るのが相当である。
これを前提に損害額を検討するに,証拠(甲31)によれば,下水道公社 契約による原告の売上げは,平成13年度において1億9307万4621 円,平成14年度において1億8731万9916円,平成15年度におい て2億0572万1022円であり,その平均は1億9537万1000円 (1000円未満切捨)となる。
そして,これらの売上げが年度によって大 きな変動がないことからすれば,平成16年度以降においても上記平均額の 売上げがあると考えるのが相当である。
もっとも,下水道公社契約による原 告における純利益の額は,全証拠に照らしても判然としないが,民事訴訟法 248条の趣旨に照らし,少なくとも売上げの20パーセント程度はあった ものと認めるのが相当である。
なお,平成16年度においては,既に152 8万1885円の売上げがあった。
したがって,平成16年度から平成21 年度までの5年間の損害額は, 1億9537万1000円×0.2×4.3294(5年間のライプニッ ツ係数)−1528万1885円×0.2=1億6611万1464円 となる。
もっとも,上記認定事実によれば,上記の下水道公社契約解除に至る一連 の経過は,平成15年8月6日に本件コンポストから,肥料取締法等の許容 基準を超えるカドミウム及び鉛が検出されたことが発端であり,本件コンポ ストが不要物と認定された根拠としても,本件コンポストから総理府令及び 肥料取締法の基準を超える重金属が検出されたことが挙げられているのであ るから,第1改善命令及び第2改善命令が出されたこと及び下水道公社契約 解除には,本件コンポストから基準値を超える重金属が検出されたことも相 当程度寄与しているというべきである。
そして,被告には安全確保義務に違 反する総理府令の基準を超える焼却灰の搬入行為が一度あったが,毎日搬入 される焼却灰のうち1日分の試料について違反が認められたに過ぎないので あるから,これが本件コンポストから基準値を超える重金属が検出された原 因とは認められない。
むしろ,平成14年4月以降,本件コンポストの重金 属含有量が増加したのは, A プラントに投入される焼却灰の割合が増えた ことに原因があるのであるし,原告においては,焼却灰の投入割合を減らす ことによって本件コンポストの重金属含有量を減らすことができたのである から,被告が総理府令の基準に適合した焼却灰を搬入した以上,本件コンポ ストから基準値を超える重金属が検出されたことについては原告に責任があ るというべきである。
以上のことからすれば,下水道公社契約解除による損 害をすべて被告に負担させるのは損害の公平な分担の見地から相当ではなく, 30パーセントについては過失相殺により減額すべきである。
以上によれば,原告は被告に対して,引取義務の債務不履行に基づいて1 億1627万8024円の損害賠償を請求できる。
(4) 下水道公社に対する違約金 上記認定事実に基づいて検討するに,下水道公社契約上,下水道公社は, 原告が契約に違反し,その違反により契約の目的を達することができないと 認められるときには契約を解除することができるとされ,この場合,原告は 下水道公社に対して,委託金額の10分の1に相当する金額を違約金として 支払う旨規定されているところ,下水道公社は,原告が廃掃法12条2項に 違反するとして第1改善命令を受け,下水道公社契約3条2項の産業廃棄物 を「法令に基づき適正に処理する責任」に違反したことから,同契約を解除 したものであるから,原告には下水道公社に対して,違約金として,汚泥処 理委託契約に関しては1658万2312円を支払う義務があり,しさ処理 委託契約に関しては46万6013円を支払う義務があると認められる。
そ こで,原告は下水道公社に対して上記金額を支払ったものである。
そして,上記に検討したことからすれば,被告の引取義務違反と,原告の 本件コンポスト保管行為が廃掃法12条2項に違反し,第1改善命令が出さ れたこととの間には,密接な関係があるというべきであるから,被告の引取 義務違反と,原告が下水道公社から,下水道公社契約3条2項に違反したと して同契約を解除され,同契約に基づいて違約金を支払うこととなったこと との間には相当因果関係が認められるというべきである。
したがって,被告の引取義務違反によって原告には上記違約金相当の17 04万8325円の損害が生じたものと認められる。
もっとも,上記のとおり,下水道公社契約が解除されたことについては, 本件コンポストから基準を超える重金属が検出されたことも影響していると いうべきであるから,30パーセントについては損害の公平な分担の見地よ り過失相殺により減額すべきである。
以上によれば,原告は被告に対して,引取義務の債務不履行に基づいて1 193万3827円の損害賠償を請求できる。
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